専門分野プロフェッショナルの彼女②

まずは背景から
彼女たちの現実を掌握しておく。司法修習生は極めて時間の限定された期間限定投資案件である。投資可能な期間はわずか１年半。この期間が終わり司法修習生考試（いわゆる２回試験。司法試験と合わせて２回目だからこう呼ばれる）にパスすると、彼女たちは晴れて法曹界入りするのである。この間は国家公務員扱いとなり、少額の給料がもらえる。半面、国内旅行する際に届け出が必要だったり、海外旅行は原則的に認められなかったり、何かと制約の多い日々を過ごすことになる（しかし彼女はこの半年で２回、私と都内に宿泊している。確かパークハイアットとグランドハイアットだった。規定通り届け出をしたのだろうか。謎である。都内の場合は旅行と言わないのかもしれない。彼女の法的解釈を待ちたい）。司法研修所は埼玉県和光市にある。私か彼女に初めて会った場所が、なぜ治安悪化に歯止めのかからない池袋だったかもご理解いただけよう。東武東上線１本で出られるからである。この中には「いずみ寮」「ひかり寮」という寮があり、司法修習生はいずみ寮に入寮する。所在地の和光から「いずみ（和）」「ひかり（光）」の名を取った身もふたもないネーミングである。「いずみ寮」はさらにＡ・Ｂ棟に分かれ、それぞれ６００人を収容できる巨大な施設である。門限は一応２３時になっているが、特に管理はされていない。ここは特に男女別に分かれておらず、各フロアを自由に行き来できる。施設内で同期間の親交を深めていただこうという最高裁判所の厚意である。この厚意を最大限に活用し、寮内で不適切な関係を持つに至る勇猛果敢な男女ペアも毎年必ず数組発生する。実際に彼女から、隣室の嬌声で勉強にならない、と嘆きのメールが入ったこともある。国民の血税で何してやがると言いたい。３ヵ月の前期研修では５科目を徹底して学ぶ。投資案件が何を勉強しているかを知るのは非常に重要な要素である。内容は無理でも、科目くらいは最低限覚えておきたい。
１民事裁判
２刑事裁判
３検察
４民事弁護
５刑事弁護
諸君は「六法」が何を指すかを当然ご存じだろうが、念のためにこれも記しておく。これを知らないようでは司法修習生への投資は絶望的だ。ご存じなければ、この場ですぐに暗記し給
え。覚えるまでこれ以上読み進んではいけない。
１憲法
２民法
３商法
４民事訴訟法
５刑法
６刑事訴訟法