あいちゃんずでいず

あいちゃんとゆかいな仲間たち(男子も既婚者もいます)婚活、お見合い、恋愛に役立つブログを更新していきますね。真面目なお話からくだらないお話まで付き合ってください。

セレブを諦めて年下男子に行った女


Eちゃんはお嬢様だ。小さい頃から何不自由なく育ってきて、本当に世間知らずの自由奔放な女の子。私か思うに、そんなお嬢様の「男選び」には2パターンある。1つは生活レベルを決して下げたくないから、同水準のおぼっちゃまを選ぶタイプ。そして、もう1つは、遊びに慣れた男に引っかかってしまうタイプだ。Eちゃんの場合は、間違いなく後者だった。高校、大学と彼女の彼氏は、誰が見ても「あれは、ヤバイね」と思う遊び人。「E、金貸してくれよ。おとといから、何も食べてないんだよ。金ないとお前とも遊びに行けないじゃん」そんなことを繰り返すダメ男に対して、彼女は、「私かいないとダメになっちゃう人だから」といつも甲斐甲斐しく世話をしていた。だがEちゃんは大学を卒業後、就職してから変わった。
「お金を稼ぐって大変なんだね。初めて知ったよ。これからは、スーツ姿が似合う仕事を頑張っている男の人を探すんだ!」と宣言。就職から半年後、とある会社の社長とつき合いだした。友だちの紹介で知り合った彼は15歳年上で館ひろし似の男前。穏やかなまなざしの優しい人だった。「Eちゃん、いいよね。イイ人見つけたよね」友人たちは、みんな彼女をうらやましがった。私も、「Eちゃん、別れる時は教えてね。私がつき合いたいよ」と冗談まじりに、半分本気で言ったものだ。人もうらやむ彼氏と交際してわずか3ヶ月後。「いきなりだけど、来月結婚するから」「えっ?デキちゃった?」「やだな。まだだよ。でも、向こうもいい年だし、早い方がいいかなってことで」と嬉しそうに話す彼女。「そっか、よかったよね。絶対に幸せになれるよ」私がそんな祝福の言葉をかけた1ヶ月後、彼女は盛大な結婚式を挙げた。新婚旅行でヨーロッパを一周し、帰国後、彼女は専業主婦として優雅な新婚生活を送っていた。たまに私か遊びに行くと、「来てくれて嬉しいわ。最近、家を建てるからデザインを考えるだけの毎日で……専業主婦って本当に暇ね。旦那は習い事でもしたら、って言うんだけど、いまいち趣昧もないから困ってたのよ」だがEちゃんは、エステと高価な買い物三昧でどんどん洗練され、美しくなっていた。「うらやましいな。私と生活変わってほしいよ」
私はいつもの軽口をたたいていた。さらに1年後、Eちゃんは自分のデザインした大きな家を建て、ますます「幸せマダム」に磨きをかけていた。しかし、である。「私、なんかバイトないかな?私、家にいるの飽きてきちゃって。旦那は仕事忙しいし、昼間、本当に暇なんだよ。お金はいらないから、どっか外に出たい久しぶりに会ったEちゃんは、そんな相談を持ちかけてきた。彼女の旦那は、社長業が忙しく、毎日帰宅するのは深夜0時過ぎ。しかし、家に帰れば毎日、「Eのご飯が早く食べたくて、頑張って仕事終わらせてきたんだ」と相変わらず優しいのだという。「最高じゃないの。うらやましいよ!仕事なんかしなくても、習い事をすればいいんじゃないの?」「でも、習い事って3ヶ月以上続いたことがないのよね。飽きっぽい私には無理みたい」「じゃあ、知り合いに一度聞いてみるよ。何かバイトがないか。旦那さんもいいって言ってるんだよね?」「うん。したいようにしなさい、って言ってくれてるから大丈夫。私、お願いね。聞いてみてね」Eちゃんはいつになく真剣な目で私に頼んできた。その頃、たまたま私の友人の雑貨屋がバイトを募集していた。彼女の家からも近い。そこでバイト生活が始まった。小さな雑貨屋だったので、店にはEちゃん1人だけの日もあったが、家の外に出られるということで、彼女は楽しそうに慟いていた。「私、バイトを紹介してくれて本当にありがとうね。でも、ちょっと問題が出てきたの」半年後、Eちゃんに会った時、彼女は徐々に声をひそめて言った。「どうしたの?バイト先がお給料払わないとか?」
紹介した手前もあって、私は彼女の身を案じた。「違うの。彼氏ができちゃった」えっ?彼氏?びっくりして問い詰めると、相手は雑貨屋の常連客だという。彼女も店に1人でいることが多いため、彼とはしだいに仲良くなっていった。店番をしている時、Eちゃんは彼から聞かれた。「彼氏とかいるんですか?」「彼氏はいないんだけど、旦那がいるの」正直に話すEちゃんに、彼はこう切り返したという。「じゃあ、ボクを彼氏にしてください」そう言って、自分の連絡先を渡してきた。「いくつなの?その男」「20歳なんだけど……彼、いまこっちに向かっているから会ってみてくれない?」Eちゃんは、はにかみながらも嬉しそう。私は首をぶるんぶるん振った。「えっ、いいよ。会いたくないし。私、旦那さん知ってるから、彼に会っちゃったら複雑な気持ちになるよ」みんながうらやむ旦那さんのことを考えると、なんだかどんどん腹が立ってきた。私が席を立ち上がったところに、「Eさん、遅くなってごめんね。バイト抜けられなかったから」という声が聞こえ、金髪の青年が入ってきた。「初めまして。Eさんの彼氏です」そう自己紹介しながら、彼女の手を取る青年。私は、すっかり不快になった。「キミさ、どういうつもりか知らないけど、ちゃんと考えて行動することだね」私はそう言い残して、立ち去った。その後、Eちゃんからの電話は取らなくなった。あんな彼氏の話は、聞きたくなかった。しかし、聞きたくなくても友人たちから情報が入ってきた。「Eちゃんの彼氏さ、仕事、してないらしいよ。バイト先で店長とケンカしたらしくって。だから、デート代はみんな彼女持ちなんだって」「Eちゃんもバイト辞めたらしいよ。彼氏とデートしたいからドタキャン続きでクビになったみたい」などなど。ということは、2人のデート代は、旦那が一生懸命慟いたお金から捻出されているってことか。私は、本気で腹が立ってきた。Eちゃんとの共通の友人に、こんな伝言を頼んだ。「彼女に会ったら言っておいて。私は、彼氏の話は一切聞きたくないからって。だから、彼氏と別れてから連絡をちょうだいって」すると伝言を聞いたのかEちゃんから、携帯の留守電にメッセージが入っていた。「私、ひどいよ。どんな状況でも応援してくれるのが女友だちってもんでしょ!私は絶対別れないからね」それから1年がたった。またも携帯の留守電にEちゃんからのメッセージ。
「私、旦那と別れることにしました。彼氏の話をしたからです」正直、私はビックリした。彼女ってば、そんなに好きだったんだ……。相手は20歳だけど、彼が運命の人だったのか……。私はEちゃんに電話をかけ直した。「聞いたよ留守電。本気だったんだね。でも、ホントにいいの?旦那と別れて。あの生活を捨てるんだよ」「いいの。彼がいれば、それで幸せだから。貧乏でも私、パートに出て稼ぐから」すっかり、昔の彼女に戻っていた。Eちゃんは離婚届を出した。旦那は彼女を責めずに、自分を責めたそうだ。「キミがそう決めたのなら、仕方ないね。仕事で忙しくて、あまり構ってあげられなかったボクの責任でもあるよ」そう言って、男泣きしたそうだ。すったもんだの末、彼女はあの彼氏と生活をしているもんだと思っていた。ところが、久しぶりに会った友人から、Eちゃんの近況を聞いた。「彼女、散々だったよね。でもまあ、身から出たサビか!結局―人になるとはね」何も知らなかった私は、全く状況がつかめない。「聞いてないの?彼女さ、離婚届出したでしょ。彼氏には旦那と別れたからって泣きながら報告したらしいの。そしたら、彼氏なんて言ったと思う?」「そりゃ、喜んだでしょ」「そう思うでしょ?それがさ、『オレは別れてなんて言ってないよ。キミが人妻だからつき合ってたんだ』って言ってきたらしいわ。おまけに『ほら人妻って響きがエロくて、なんかいいじゃん……』ですって」「最低!だから私、反対だったのに……」私の言葉は、いまやただむなしいだけだった。その後、Eちゃんは金髪青年と連絡が取れなくなったそうだ。何度電話をしても出てくれないし、揚げ句の果てには「この電話番号は使われておりません」状態になったという。きっと、彼はまた新しい人妻を探しているのだろう。Eちゃんはいま、旦那と暮らした大きな一戸建てに、―人で暮らしている。「家のローンがいっぱい残ってるから、働かなきゃいけないの」と就職活動も頑張っていた。30社くらい受け続け、ようやく小さなデザイン事務所に職を得た。自分が原因で離婚したものだから、慰謝料はゼロだし、大きな家のローンは彼女が支払うことになっていた。「当分、男はコリゴリ。とりあえずは、裏切らないお金を貯めることにするわ。あと最近、犬を飼い始めたの。この子と2人で頑張ってみるわ」疲れた表情で彼女は決意を表明した。しかし、大丈夫であろうか?私は、また彼女が悪い男に引っかかるような気がしてしょうがない。私の周りには、悪い男が好きな女性がたくさんいる。彼女たちは、真面目で優しい男性相手ではどこかもの足りないようだ。「あの人は、いい人過ぎて面白くないんだもん」と言う。常に刺激を求めたいのなら、そりゃあ浮気を繰り返すような悪い男の方が退屈しないかもしれない。でも、そんな人を選んで本当に幸せになれるのか?「彼っていままでは遊び人だったって自分でも認めてるんだけど、私か絶対に変えてみせるんだ!」と彼女たちは一様に言う。自分が「特別」だと思いたい気持ちはわかる。私も、何度も痛い目に遭ってきたから。私の女友だちにどんどん手を出す彼。お金を財布から抜き取る彼。ドラッグ中毒の彼。どの彼も「私か変えてみせるんだ」と本気で思っていた。でも、ようやくわかった。そういう男は絶対に変わらない!男が変わらないなら、女が自分を変えていくべきだと私は悟った。だから、私はもう悪い男なんかに振り回されたりしない。なぜなら自分が一番大切だから。悪い男に引っかかっている女性は、常に「男を第一」に考えている。でも、それで本当に幸せなんだろうか?三十路を迎えたいま、私は思う。自分の人生なんだから、自分を一番大切にして生きていきたいと。最近、Eちゃんに会った。私は聞いた。「もしも、人生やり直せるなら……また、前の旦那さんと結婚する?」すると、彼女は深くうなずいた。「絶対にする!だって最近、昔のアルバムを見たんだけど、気づいたの。あの新婚時代の私が、私は一番好き。自分で言うのもなんだけど、あの頃の私か一番きれいだった気がする」彼女は、もう大丈夫のようだ。