あいちゃんずでいず

あいちゃんとゆかいな仲間たち(男子も既婚者もいます)婚活、お見合い、恋愛に役立つブログを更新していきますね。真面目なお話からくだらないお話まで付き合ってください。

美しさを追い求めて


中学の同級生だったNちゃん。彼女はとにかくよくモテだ。中山美穂似の彼女は女の目から見ても本当にきれい。Nちゃんは中学を卒業し、地元の公立高校に進学。高校に通いながら、夜は母親の経営するスナックで働いていた。「私、お母さんがお金で苦労しているのを見てきているし……絶対、王の輿に乗ってやるんだ!」彼女には、父親がいなかった。いや生きてはいる。大きな会社の社長さんで、本宅があってそこには妻も子どももいるらしい。いわゆる不倫でできた子がNちゃんだ。「私、その男から認知してもらってないんだよね。だからホント、うちはお金で苦労してきたの。私、お母さんを幸せにしなきゃ!」彼女は宣言した。そんなNちゃんがある日、高校に退学届を出した。理由は、夜の仕事が忙しくなってきたから。あるとき街を歩いていたらキャバクラのスカウトに「時給5000円出すから」と誘われ入店した。中山美穂似の彼女のことだから当然のこと、入店するやいなや指名の嵐。あっというまに、店のナンバー1になった。Nちゃんはそれから何年もの間、ナンバーーとして街のキャバクラ広告の看板に写真が使われ、お水系求人情報誌の表紙を飾るほどの人気を得ていた。「久々に飲みに行こうよ。時間やっと取れたんだよね」Nちゃんから電話がかかってきた頃、私たちは25歳になっていた。彼女は夜の世界で働き続け、生活パターンが昼夜逆転していたため、なかなか会えないでいた。そうして、久しぶりに会った彼女は変わっていた。もちろん夜の蝶として現役で働く彼女の美貌は衰えていない。でも何かが違う。「私、変わったでしょ?」「うん。なんでだろうね。久々だからかな」と口ごもる私。だが彼女はあっけらかんと、「整形だよ!整形!」笑顔で言い放った。「私、キャバクラで売れっ子だったのよ。さんにも家建ててあげたんだよ!」そう嬉しそうに語るNちゃん。「とにかく雑誌の表紙にもパンパン出て頑張ってたの。でも、2年くらいしたらナンバー2に落ちたんだよね。悔しかった。勉強とか運動とかこれまで一番になれたことなんてなかったから、初めてのナンバー1は嬉しかったの。だけど、落ちたらすっごく悔しい。だから整形したの!負けたくなくて」ため息まじりに、すごい勢いで話すNちゃん。「そ、そっか。そうなんだ」私は相づちしか打てなかった。「最初はね、目を奥2重からぱっちり2重にしたの。次は、鼻でしょ。そして、輪郭削って……。そーそー、ここも!」Nちゃんは私の左手をつかみ、自分のおっぱいの上へ。「胸も入れちゃった」恥ずかしそうに話す彼女。「そっか。きれいになるのも大変なんだね。でもきれいを追求するのもいいけど、体壊しちゃだめだよ。体が資本なんだからね」私はそう言って励ますのが精一杯で、彼女と別れた。それから半年後。Nちゃんから手紙が届いた。「いまね、中国にいます。少し疲れたので、語学留学しています。店のお客さんから、これからは英語より中国語を話せた方が有利って聞いたし、玉の輿に乗った時に役立ちそうだしね。とにかく3ヶ月後、帰国したら店に戻って、絶対、玉の輿に乗るから。寿退社するから見ててね」そうしたためられた手紙を、私は複雑な思いで読み、手帳にしまった。あれから数年、30代になった現在も彼女は水商売の世界で生きている。キャバクラは卒業し、いまはクラブで働いている。会うたびに「また、いじっちゃった……」と笑い飛ばす彼女の整形癖は、直らない。25歳をきっかけにお見合いパーティーに参加しまくっていたHちゃんも、整形にとりつかれた女の1人だ。彼女も玉の輿に乗るべく、毎週末、お見合いパーティーへ出かけていた。しかし、行けども行けどもカップルにはなれない。そこで彼女は決断した。結婚資金に貯めていた100万円を費やし、目、鼻、輪郭を変えた。そして再びお見合いパーティーへ。彼女は生まれて初めて「モテ子さん」を経験した。そうしてHちゃんは医者のハートを射止めた。出会って半年後、結婚。2人の披露宴では、定番のスライドショーが流された。幼少時からの写真が披露される。まず彼の赤ちゃんの時の写真。続いてHちゃんが赤ちゃんの時の写真。問題はそのあとだ。彼の小学生の時の写真。彼女のランドセルだけの写真。彼の中学生の時の写真、彼女の中学校卒業アルバムだけの写真。彼の20歳の時の写真。対して彼女の成人式らしき場面で花束だけの写真……。なぜ彼女自身のスナップ写真は出てこないり‥あり得ないぐらい不自然なスライドショーに会場は少しざわついた。なんとHちゃんは整形前の写真をすべて破棄していたのだ。そんな結婚式から2年たった現在、順調に結婚生活を送っているらしい。もちろん、旦那様は彼女が整形した事実を知らない。「この先、子どもができた時、少しだけ不安だけどね」そんなことを口にしながらも、Hちゃんは玉の輿生活を満喫しているようであった。私は整形については、一長一短」と思っている。Hちゃんのように整形をきっかけに幸せを手に入れられるケースもある。しかし、彼女が100パーセント幸せかというと、それは本人にしかわからない。愛する旦那様に一生、秘密を守り通さなければならない現実。秘密はいつバレるともしれない。そんなビクビクした生活を送るなんて、肝っ玉の小さい私には無理だ。かといって、Nちゃんのように「美しくなりたい」という果てしない欲求で整形を続けるというのもどうなのか?これから先、どんどん年を取る。シワも、シミもできる。その老いていくスピードに立ち向かっていくわけで、整形を施すにしても日に日にハードになっていくはずだ。必要なパワーと経済力たるや、並大抵ではない。そんなことを考えると、NちゃんもHちゃんも本当にすごい。私には、絶対できないことをやってのけている。見た目の美しさを手に入れる代わりに、必然的に伴うハイリスク……。それに耐えながらも、前に進み続けている。私にはない決断力を持つ彼女たちが正直うらやましい。